小型高機能カメラの開発
木村研究室ではデジカメなどに利用されている民生用の撮像素子と計算デバイスを組み合わせることで、単に画像を取得するだけでなく、画像処理も実現する小型高機能カメラを開発してきました。このような画像の処理・圧縮機能は人工衛星の限られた通信容量で解像度の高い顔図を取得したり、画像をもとにした自律的な運用などに効果が期待できます。こうした技術は2010年5月21日に打ち上げ世界初のソーラー電力セイル実験に成功したIKAROSでも生かされています。
株式会社ウエルリサーチがJAXAの委託を受け、IKAROSの展開モニターカメラを開発する際、低コストで高機能なカメラを実現するこれらの木村研究室の技術に注目、搭載カメラ開発において株式会社ウエルリサーチに協力することになりました。
このように、開発されたIKAROSカメラは、世界初のソーラー電力セイルの展開&発電の様子を伝えるなど、無事その役割を果たしつつあります。
IKAROS搭載結合カメラシステムの概要
IKAROS搭載結合カメラは4台の固定カメラヘッダ、そしてこれらを結合制御し画像の保存などを行うカメラコントロールから構成されます。このシステムでは多くの点で株式会社ウェルリサーチを通じ、木村研究室の技術が生かされています。
特徴の一つが、FPGAを利用した処理系コンポーネントの共通化です。FPGAとは、ユーザが自由に論理回路を構築することが可能な半導体デバイスです。IKAROS搭載結合カメラは、FPGAベース構築した全く同一の凡用処理ボートを固定カメラヘッダ及びカメラコントロールに計6台搭載することで、処理系コンポーネントの共通化することで、開発コストを下げインターフェースの必要に高じた自由な構成することが可能になっています。特にこれらのFPGA上で高度な処理を実現するソフトウエアは木村研で開発した技術が生かされています。
IKAROSに搭載されている分離カメラにも木村研究室の技術が用いられています.この分離カメラシステムは固定カメラでは困難な、「衛星全体を俯瞰すること」を目指したカメラで、JAXA、東京理科大学、東京工業大学が共同で実現しました。木村研究室はこのミッションの中でカメライメージャ部の開発を担当しています。分離カメラは過酷な温度条件で動作し。非常に小さく作る必要があるため、自動車などの監視 用途でも用いられている撮像素子を活用することで20mm×30mm×30mmという非常に小さな撮像ユニットを実現する事に成功しました。
このように、民生用デバイス(COTS)の評価・活用に関して情報提供・技術協力を行っています。民生用デバイスを宇宙で利用する際、過酷な熱、振動、放射線環境への対応が問題になります。木村研究室ではこれまでCOTSの宇宙利用について研究を進めてきました。IKAROS搭載結合カメラシステムの製造に当たっては、こうしたCOTS利用について部品選定やシステム構成などのノウハウを株式会社ウエルリサーチに提供いたしました。その結果宇宙用部品ではなかなか実現が難しい高度な機能を限られたコストの中で実現する事ができました。
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